表紙名古屋仏壇職人金粉詳細

金粉蒔き(きんぷんまき)


金粉蒔き仕上げ(扉裏板) 従来の金箔押し仕上げ(扉裏板)
 金粉蒔きは、それぞれ独自の蒔き方があり決してあかされることのない秘伝の技術です。
我が家でも、二代目が数十年前に総金粉仕上げの仏壇(仏壇の中、外ともに金箔の変わりに、すべて金粉で仕上げた仏壇。消し粉の雰囲気がより高級感を演出して仏壇に落ち着きをもたらします。)を依頼されたときに、金粉蒔きを必死になって研究し、独自の技術を確立させたといいます。

 当時の金相場は、今の金相場に比べればかなり高かったようです。そのうえ、最初のうちは何回やっても上手くいかず、何回も金を蒔いては金を取りってやり直すということを繰り返し、向上を求め研究を重ねたそうです。それゆえに、1日20万円ほどの金を捨てた日もあり、途中、ほんとうに諦めかける寸前だったそうです。このように、大変な苦労をして幾度となる壁を乗り越えて取得した独自の技術は、決して公表されることのない秘伝の技術なのです。

 地下蒔き(塗った上に地下に蒔く事)で金粉仕上げした表面に縦筋、渦巻き状の筋やムラがないように、面積の広い平板面を均一かつ綺麗に手で金粉を蒔く技術は、大変難しいことです。
それのため、金粉を地下に蒔くことが出来ないと、金泊の上から金粉を蒔いてあらを目立たなくしたり、ひどい仏壇には、金粉色の塗料を吹き付けそのように見せてあるというものもあります。

 名古屋でもこの技をできる職人は数少なく、それだけ貴重な技術といえます。この地方で、製造された仏壇にも、面積の狭い仏壇外部の面や彫り物などに金粉が使われていることは見かけますが、扉裏板、堂横板、堂後板のような面積の広い平板面(仏壇のサイズが大きくなればなるほど各部の面積が広くなるので難易度は高い)には、このような仕上げがしてあることはまだ少なく、総粉仕上げという仏壇を見かけることも少ないです

また、この金粉蒔きは洗濯のときにも応用でき、こうしたやり方で仕上げ直すということもできます。いままでの仏壇とは、また雰囲気が変わり落ち着いた品のある高級感あふれる仏壇に模様替えできます。



金粉
金粉も金箔と同じように金の含有量に応じて五毛色から順番に1号色、2号色・・・とグレードがあります。しかし、金粉も五毛色というのは、あまり仏壇に使われることなく、良いものには金粉として純度が高く良質の一号色を使います。

 一号色は赤々とした黄金色に対し、2、3、4号と下にいけばいくほど金粉の色に青白さが増していきます。これは、一号色、2号色、3・・・と金粉の成分に金の含有量の減った分、銀の含有量が増えていく結果、そのような色合いになります。(金箔詳細の表参照

 これら、金粉は本金には変わりありませんが、中には見た目が本金粉と識別ができないような代用粉や合成粉のパール粉・金粉色塗料・アルミ粉などなど、多数の本物ではない金色の粉が使ってある仏壇もあります。これらは、後に変色したりして品質に影響を及ぼす可能性がありますので注意が必要です。